短編集『固茹玉子』
町を出てから200マイル。そろそろ次の町が見えてきそうなものだが、一向にその気配は無い。俺の愛車はガブガブとハイオクガソリンを喰らい続けている。

ソフィの部屋に転がりこんだのも、元はと言えばこいつのせい。8つの心臓の鼓動を轟かせ、あの町のメインストリートを流している時、彼女は信号待ちの窓越しに声を掛けてきた。

「随分趣味の悪い車ね」


< 4 / 93 >

この作品をシェア

pagetop