短編集『固茹玉子』
「おゎああああっ!」

そうして目が覚めた。彼女が俺への復讐を果たす場面で、必ず夢が覚めるんだ。

彼女は山登りで行き違う人だったり、海に遊びに来ている人だったり、映画を観に来た人だったりしている。しかし最後には、必ず俺に刃物を突き立ててくるんだ。

これから始まる1日にも必ず彼女は現れて、俺を刺してくるに違いないんだ。

頼む。

頼むからもうやめてくれ!

目覚めさせてくれ!

俺を現実に戻してくれぇぇっ!


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