短編集『固茹玉子』
いきなりそんな事を言われて俺は(多分こいつも)カチンと来た。

俺はサングラスを外すとその声の主をマジマジと見る。勿論、その視線は敵意に満ち満ちた物になるが、アンクレットが光るその足元から舐め上げるように見た後の俺は、頬が緩むのを抑える事が出来なかった。

「助手席に素敵な花を飾ったら大分マシになるんじゃない?」

髪飾りのハイビスカスをちらつかせてソフィは言う。俺はそんな彼女にイチコロだった。


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