短編集『固茹玉子』
 ポツ……

 ポツポツッ……

 ザァァァァァ……


 通り雨。


 それは辺りを瞬く間にノイズで満たして、ずぶ濡れにする。


 ゴキベキャッ ブシュッ!


 突然の雨を逃れて駆け込んだ軒先で聞こえた耳慣れない音は、

そのわずかに開いた窓の隙間から漏れてきていた。


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