短編集『固茹玉子』
ふと足元に目をやると、陽が当たらず、いつもじめじめとしているだろう此処の水溜まりに俺の姿が写り込んでいた。

しかしゆっくりと煙を燻らすその様子を見て「まだ余裕は有るようだ」と胸を撫で下ろす。

市街戦ともなれば、土地勘の有る奴等が有利なのは目にみえていた。しかし俺は敢えて戦いを仕掛けたのだ。

ただ俺の相棒を救う為だけに。


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