短編集『固茹玉子』
「どうしたんだ! 一体何を恐れてるんだっ。もう俺達は自由なんだぞっ?」

 すると一人の老人がラスボスの屍に寄り添い、俺の目を見据えて言った。

「わしらはこの方の一部なんじゃ。それをお前さんは殺してしもうた。お前さんに取ってはつまらない人生だったかも知れんが、わしらに取ってはかけがえのない日々だったんじゃ」

何だって?

だって俺は、あんな暗い中での生活なんて、誰もが不満を持ってるものだと思って、だから俺は……。

「お前さんもこの方の一部。束の間の自由は味わえたかも知れんが、後は朽ち果てるのみじゃ」

そして俺は、腐っていく都市に飲み込まれ、腐臭と共に土へと帰っていく。


END


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