フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~
「リュシー?」
動かない。ただじっとこちらを見ている。
「どうしたの?」
沈黙。
ただ、アイスブルーの双眸で彼女を見ていたが、おもむろに動く。
席から立ってつかつかと側に来ると、リリアの肩を抑えて顔を寄せ――迷うことなく唇を重ねる。
そして、何事もなかったかのように机に戻ると、また羽根ペンを走らせ始めた。
「……な、なに?」
「別に」
王都以来、接吻されたことはなかったのだが。彼はそういう素振りを見せなかったし、彼女が素振りを見せると、決まって必要ない、しなくていいと言っていた。
しかも……今までとは違っていた。何と言うか、王都では縋るようにしてきたのに、先程のは寧ろ傲慢さがあった。
「……どういう変化なの?」
「落ち着いたら話す」
それっきり、彼は何も言わなかった。
◇◆◇◆◇
動かない。ただじっとこちらを見ている。
「どうしたの?」
沈黙。
ただ、アイスブルーの双眸で彼女を見ていたが、おもむろに動く。
席から立ってつかつかと側に来ると、リリアの肩を抑えて顔を寄せ――迷うことなく唇を重ねる。
そして、何事もなかったかのように机に戻ると、また羽根ペンを走らせ始めた。
「……な、なに?」
「別に」
王都以来、接吻されたことはなかったのだが。彼はそういう素振りを見せなかったし、彼女が素振りを見せると、決まって必要ない、しなくていいと言っていた。
しかも……今までとは違っていた。何と言うか、王都では縋るようにしてきたのに、先程のは寧ろ傲慢さがあった。
「……どういう変化なの?」
「落ち着いたら話す」
それっきり、彼は何も言わなかった。
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