フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~

 翌朝。起きると、リュシオスは既に着替えて机に向かっていた。羽根ペンを走らせている。

「…………」
 リリアは、自分の格好――昼間の服装をきっちり着ている――を見ながら立って、リュシオスの前に行く。
「一つ、早急にはっきりさせたいことがあるんですけどね」

 リュシオスが、感情のないアイスブルーの瞳で彼女を見る。

「最初に会った日――あの晩よ。あの時、あたしは寝間着姿だったけど、次の日の朝っていうか昼にはあなたがくれた服を着てたわ。
 あれ、一緒にいた女性が着替えさせたのよね?」

 目に、何の感慨も見せず、
「いや、俺だ」
 あっさりと、事も無げに言い放つ。

「どうかしたか?」

「こ、こ、こ……」
 暫く、リリアは言葉を詰まらせていたが、
「この変態!」

 次の瞬間には彼の澄ました顔の下の首を絞めていた。

「最初っからそういうつもりだったのね! 何? 昨夜は純情そうな顔しといて? そんな顔して一体何人抱いてきたのよ?」

< 31 / 66 >

この作品をシェア

pagetop