フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~
翌朝。起きると、リュシオスは既に着替えて机に向かっていた。羽根ペンを走らせている。
「…………」
リリアは、自分の格好――昼間の服装をきっちり着ている――を見ながら立って、リュシオスの前に行く。
「一つ、早急にはっきりさせたいことがあるんですけどね」
リュシオスが、感情のないアイスブルーの瞳で彼女を見る。
「最初に会った日――あの晩よ。あの時、あたしは寝間着姿だったけど、次の日の朝っていうか昼にはあなたがくれた服を着てたわ。
あれ、一緒にいた女性が着替えさせたのよね?」
目に、何の感慨も見せず、
「いや、俺だ」
あっさりと、事も無げに言い放つ。
「どうかしたか?」
「こ、こ、こ……」
暫く、リリアは言葉を詰まらせていたが、
「この変態!」
次の瞬間には彼の澄ました顔の下の首を絞めていた。
「最初っからそういうつもりだったのね! 何? 昨夜は純情そうな顔しといて? そんな顔して一体何人抱いてきたのよ?」