フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~
「次の五月で十七になる。そうなったら、王位継承権を返上するつもりだ」
 確かに、貴族社会では十七で成人となる。自己決定権も広がるだろう。だが、

「そんなことして、大丈夫なの?」
「その為だ」

 リュシオスは、溜息をついて、
「その為にあいつらの助けが要る。俺が元王族な方が都合のいい連中もいるんだ。そういう連中の助けを借りて、このふざけた因縁を断ち切らないといけない」

 彼が『助け』と言うことに珍しさを感じていると、
「そうすれば、お前とも……」
 と、彼は彼女の顎に手をかけ、

「俺には、お前も要る」
「……分かった」
 リリアは、自分から唇を寄せた。
「側にいる」

「おう、お熱いことで」
 いきなりな声に振り向けば、さっきの神官。戻ってきたらしい。

「……ヴァセッタ……貴様……」
「おう、お前が怒るなんで珍しい。
 邪魔されてご立腹ですかな?」

「去ね!」
 今度こそ、男は帰っていった……のだろう。
 リュシオスは、忌まわしげに、急いで彼女を連れて謁見の間を出た。機嫌を直すのが大変だった。



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