フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~

「……悪かった」
 ぽつりと洩らす。
 ベッドの上で、リリアの胸に頭を乗せて。

「……お前を失えば、俺は悲しい。でも、逆は……考えてなかった。ごめん」
 リリアの服を握り締めて、
「母さんと姉さんが亡くなって……遺される悲しみは分かってたのに……」
 彼女の胸に顔を埋め、泣き始めた。
「……母さん……姉さん……」

 彼女がリュシオスの頭を抱き締めると、手を伸ばし、彼女の唇に触れる。

「……俺から離れないでくれ。俺を置いていかないでくれ……
 ……もっと、お前に甘えさせてくれ……ずっと……」

「……大丈夫」
 リリアが言うと、彼は安心したように呼吸を落ち着けた。彼の目をなぞると、残っていた涙が指に触れた。



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