フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~
「ご親切なことだ」
リュシオスが言う。広げた書簡を眺めながら。
「オーヴェルトの名の下に生命と財産を保障する。このボールテック領もオーヴェルトの治外法権か。……まあ、連中に渡るよりはいい」
溜息をついて、リリアを見た。
「お前も、連れてこいとある」
リリアの肩に手を置き、
「俺さえ行けば、お前ぐらい見逃してくれる」
「……あたし、一緒に行く」
手を、一瞬引っ込め、
「駄目だ」
「卑怯なこと言わないで」
「駄目だ」
「一緒にいろって言ったのはリュシーよ! 離れるなって言ったのも!
ずっと一緒よ! 離れないって約束した!」
「……でも……お前が……」
「リュシー一人で行かせられない!」
ぼろぼろと、リリアの目から涙がこぼれた。しかし、リュシオスの目から視線は外さなかった。
「リュシーは一人にしたら死んじゃうわよ!」
「…………」
黙って、唇を重ねながら、リリアをベッドに押し倒した。ごめんとありがとうが、耳元で聞こえた。
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