フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~


 それから三日。リュシオスは、何があったか話さなかった。

 時々、悲しそうな目でリリアを見つめ……しかし、何も言わない。

 ベッドで上半身を起こして、本を読んでいたが、不意に、

「リリア。キスしたいからカーテン閉めてくれ」
 顔を上げて言ってくる。まだ立つほどの体力はない。

 ……? 怪訝な顔をするリリア。

 確かに女官が二名いるが、リュシオスはそんな性格ではない。しかも、声も必要以上に大きかった。

 取り敢えず、言われた通りにカーテンを閉めると、

「ありがとう。こっちに」
 言って、本当に唇を重ねる。いつもより長かった。

「気分も良くなったし、久しぶりに一緒に寝よう。抱きたい」

 唇を離しながらまた言う。耳元で言うにしては大きな声。

「……合わせてくれ」
 顔を離しながら、どうにか聞こえるような小声で囁く。

「う、うん。リュシー」

 リリアが言うと、リュシオスは小さく頷いて、
「愛してるよ」
 言って、リリアを抱き寄せた。



◇◆◇◆◇
< 52 / 66 >

この作品をシェア

pagetop