フェーン・ルード・オム・ファイクリッド ~LeliantⅡ統合版~


「眠いなら寝ろ。夜が夜だからな」

 チェスの駒をいじりながら、リュシオスが言う。

 あれから二日。夜は話ばかりしていたので、あまり眠っていなかった。

 話が終わってからも、内容を理解するので精一杯で眠れなかった。

 いつもなら、リュシオスは仕事ばかりしてたのだが……人質になってからはやることもないようだ。

「……リリア。来い」
 側にリリアを座らせて、笑顔を向ける。
「……お前がいれば……俺は……」

 と、物音。

 鎧に身を包んだ、人影があった。兵士ではないことは、リリアにも分かる。

「リュシオス殿下。皇帝陛下がお目にかかりたいとのことです」

「……わかった。伺う。
 リリア。待っててくれ」




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