ショコラ
ピピピピ……。
小さな機械音に驚いて顔を上げる。
メールだ。
携帯を見ると、マサさんからメールが届いている。
【明日、ヒマ?】だって。
暇ですよ。暇ですとも。
明日と言わず、明後日もその次も暇ですよ。
……とは書けないので、普通に【暇ですよ】と返信する。
【じゃあ、明日の15時にこの間の公園で待ってる】
すぐに返事が返ってきて、ほんのりと胸が熱くなる。
【わかりました】
と返事をして、携帯をパタンと閉じる。
マサさんは、どうして私を誘ってくれるんだろう。
あ、ケーキの感想を聞きたいからか。
そう言っていたっけ。
でもわざわざ、呼び出してまで食べさせる?
「……よくわかんないや」
前みたいに、期待して裏切られるのは嫌だ。
徹みたいに。
徹は、あの時どうして私を選んだの。
どうして、あんなにあっさりいらなくなったの。
結局私はまだ動けずにいるんだ。
徹の事が忘れられない。
この恋を思い出に出来ない。
こんな風に、何にもならない恋愛なら、しない方がよかったよ。