ショコラ
「本当はあったかい場所がいいんだけどね。店が駄目だと、思いつくとこがなくて」
「いいんです。なんか、楽しくなってきました」
渡されたコーヒーは湯気が上がっていて温かそうだ。
「ミルクと砂糖いる?」
「いえ、ケーキを食べるからブラックで」
「へぇ?」
「甘いもの飲んじゃうと、分からなくなっちゃうから」
マサさんが作ってくれたケーキは、
イチゴののったチョコレートケーキ。
クリームも丁寧に絞られていて、線が綺麗に見えた。
「おいしそう。マサさん、その大きな手でこんなに繊細なクリームを絞れるんだ」
「はは、なんだよ。ほめ上手だな」
マサさんは嬉しそうにケーキを手渡す。