ショコラ

そもそも徹は、どうしてあの店に通い詰めるんだろう。


「あの、……徹は、一体いつからショコラに通ってるんですか?」

「……」


マサさんは眼を丸くして私の方を見た。
聞いてはいけなかったかな。
でももう聞いてしまった。

マサさんは頬をかいて眼を泳がすようにしてから言った。


「気になる?」

「……はい」

「……詩子(ウタコ)なら分かるんじゃないかな」

「詩子さん?」

「うん。ウェイトレスの子。あの子オーナーの娘なんだよ。俺が『ショコラ』に勤め始めた時にはもう彼は毎日のように来てたし、詩子の方が店に出てるのは長いから」

「そうなんだ」

「聞きたい?」


マサさんが私を覗き込む。
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