ショコラ

聞いて、どうするんだろう。
だけど聞かなきゃ前に進めないようなそんな気がする。


「……お願いします」


私の言葉を困ったような顔で聞いて、
マサさんはゆっくり携帯を取り出した。


「待ってて」


人差し指を唇にあてて、電話を持ち直す。


「あ、詩子。俺、柾弘だけど。……うん。今さ、ちょっと時間あるか? 聞きたいことが。……え? ああ。団地の公園のところだけど。うん。じゃあ、待ってる。」


マサさんは一気に話すと電話を切った。
親しげな様子。当たり前か、一緒に働いてるんだもんね。


「もう上がるところだから、今から来るって」

「え?」

「夕方からのバイトの子が来るんだ」

「へぇ」


そう言われて、時計を見てみればもう17時だ。
こんなに長いことつき合わせちゃって良かったのかな。


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