ショコラ


詩子さんがふふんと笑う。

もう、すごいこの人。
いちいち言ってることが正しい。


「自分で彼を捕まえて話すんでももちろんいいけどね。でも、心配かけたんだからマサには一言報告をもらいたいわ」

「おい、詩子」

「それは……はい。もちろん」


マサさんは今度は私と詩子さんの顔を交互に見た。
なんでか顔が赤くなっている。

寒いのかなぁやっぱり。
段々日も暮れてきたもん。


「もしあたしでよければ相談に乗るから。いつでも店に来てね」


詩子さんはマイペースに話をして、

「じゃ、寒いから行くわ」

とあっさりと走って行ってしまった。


良かったのかな。
せっかくここまで来てくれたのに。
なんのお礼も出来なかった。

それをマサさんに言うと、首を振って「いいよ」と言った。


< 42 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop