ショコラ
詩子さんがふふんと笑う。
もう、すごいこの人。
いちいち言ってることが正しい。
「自分で彼を捕まえて話すんでももちろんいいけどね。でも、心配かけたんだからマサには一言報告をもらいたいわ」
「おい、詩子」
「それは……はい。もちろん」
マサさんは今度は私と詩子さんの顔を交互に見た。
なんでか顔が赤くなっている。
寒いのかなぁやっぱり。
段々日も暮れてきたもん。
「もしあたしでよければ相談に乗るから。いつでも店に来てね」
詩子さんはマイペースに話をして、
「じゃ、寒いから行くわ」
とあっさりと走って行ってしまった。
良かったのかな。
せっかくここまで来てくれたのに。
なんのお礼も出来なかった。
それをマサさんに言うと、首を振って「いいよ」と言った。