ショコラ
私は驚いて沙紀の顔を見た。
どうして沙紀がここが徹の行きつけの店だって知ってるんだろう。
私が徹とつき合ってる間中、沙紀は話をしてくれなかったから、ここに行くなんて教えたことなかったのに。
沙紀は、私が不審がっていることにも気付かないように続けてまくしたてた。
「和美、アイツと別れたんじゃなかったの?」
「別れたよ。……でも、徹と話したくて」
「まだ未練があるの?」
「未練……って」
未練と言えば未練だ。
私が聞きたいことは、『特別』だと言ったあの言葉はなんだったのかということ。
本当は遊びだったのか、短い間でも本気だったのか、それを知りたかった。