ショコラ
「沙紀、もしかして、徹の事が好きなの?」
「はぁ? 何言ってんのよ。違うわよ、あんな、……あんな男!」
そう言う割には、顔が赤くなった。
静かに私が沙紀を見ていると、その表情は悔しそうな顔になっていく。
「あいつは、……お姉ちゃんの元彼で。お姉ちゃんをボロボロにした奴なの」
「え?」
だって、沙紀のお姉ちゃんって確か10歳も年上で、結婚もしてたんじゃなかったっけ。
沙紀は気まずそうな顔で、私から目をそらした。
「3年前だよ。まだ、お姉ちゃんが婚約中の時。お義兄さんが1年間北海道に赴任してた時。私のバイト先の先輩だったアイツとお姉ちゃんは仲良くなって、……浮気してた」
「……」
「寂しかったって言ってたけど。寂しかったら何してもいいの?
婚約者を放っておいて若い男に入れ込むなんてどうかしてる」
「沙紀」