ショコラ

「沙紀、もしかして、徹の事が好きなの?」

「はぁ? 何言ってんのよ。違うわよ、あんな、……あんな男!」


そう言う割には、顔が赤くなった。
静かに私が沙紀を見ていると、その表情は悔しそうな顔になっていく。


「あいつは、……お姉ちゃんの元彼で。お姉ちゃんをボロボロにした奴なの」

「え?」


だって、沙紀のお姉ちゃんって確か10歳も年上で、結婚もしてたんじゃなかったっけ。

沙紀は気まずそうな顔で、私から目をそらした。


「3年前だよ。まだ、お姉ちゃんが婚約中の時。お義兄さんが1年間北海道に赴任してた時。私のバイト先の先輩だったアイツとお姉ちゃんは仲良くなって、……浮気してた」

「……」

「寂しかったって言ってたけど。寂しかったら何してもいいの? 
婚約者を放っておいて若い男に入れ込むなんてどうかしてる」

「沙紀」

< 50 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop