ショコラ

 やがて店内は閑散とし始めた。


「休憩、休憩」


詩子さんがそう言って、エプロンをとって私の隣の席に座った。


「さて、かわいい和美ちゃんは何を困ってたのかなぁ?」

「あー、えっと。友達とケンカして」


ケンカ……なのかな。
ケンカと言うよりは。


「違うか。私たち、ちゃんと話をしてなかったんだ」

「……」


詩子さんは何も言わずに私が言い終えるのを待つ。
話しているとごちゃごちゃに絡んでいたものが少しはすっきりするような気がする。


「友達、……沙紀は徹の事を嫌っていて。で、徹とつき合ってた間絶交されてたんですけど」

「うん」

「別れてからまた仲直りして。でも、沙紀は私がまだ徹に未練があるのが気に入らないみたいだった」

「へぇ?」

「それで話してたら、沙紀が徹を嫌う理由が分かって。……でも、本当は好きなんじゃないかとも思って」

「ちょっと待って、そこもうちょっと詳しく」



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