ショコラ
「いたっ」
「和美、待てよ」
「何? ちょっと、離して」
「……お前って、もしかしたら本当に『特別』だったのかも知れない」
「え?」
驚いて彼を見返すと、真剣な表情でこっちを見ている。
その瞳に、少なからず胸がドキンとする。
「俺もそんなふうに、ちゃんと終わらせれば良かったんだな」
「徹」
「昔……好きだった人の事」
沙紀のお姉さんの事だろうか。
聞き出していいものか迷う。
結構事情も複雑だし、何よりなんで知ってるのかって言われると困るし。