ショコラ
「どんな人?」
「俺よりずっと年上の人だ。本気になったって仕方がなかった。結婚を控えてて、俺のことなんて気の迷いだった」
「そんなの分からないじゃない。本気だったかもよ」
「本気だったとして、俺にはどうすることも出来ない。俺はしがない学生だ。進学だって決まってた。あの時もし強気に出てたとしても、彼女には俺の4年は待てなかったろう」
「……徹」
彼の言っていることはいい訳だ。
彼女の気持ちを確かめもせずに、そんなふうに決めつけるなんて。
「……もう一度、付き合わないか?」
「え?」
「俺はずっと、その人を忘れられなかった。だからいろんなタイプの女の子と付き合った。だけどどれも長くは続かなかった。俺に、そんなふうにきちんと別れを告げに来た女の子は和美が初めてなんだ。和美となら、もう一度ちゃんと始められるような気がしてきた」