ショコラ


「マサさん」

「うん?」


首をかしげる優しい人。

笑わずに聞いてね。

そして願わくば届きますように。



「私、マサさんの事が好きです」

「……和美ちゃん?」

「徹のこと思い出に出来たのは、マサさんがいてくれたからで。……今日徹と会っても、やっぱり会いたいと思った人はマサさんで」


ああ、なんて言っていいか分からなくなってきた。
どう伝えればいいのか分からない。

うまく頭が回らなくなって、軽くパニックになる。
するとマサさんの大きな手が、私の肩に乗せられた。


「本当?」

「えっと、う、はい」

「良かった」


私の肩に頭をうずめたマサさんが、一つ大きな溜息をつく。
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