ショコラ
ど、ど、どうしたらいいの。
嬉しいけど、そんなに前から?
私の相談を、どんな気持ちで聞いててくれたの。
ああホントに、この人は優しくて。
甘くて少し苦い、あのケーキのような人。
「……食べちゃいたいくらいです」
「え?」
腕を離してくれたマサさんは、不思議そうに聞き返す。
私は首を振って、己の発言に赤面する。
失恋が、この人に出会うために必要なものだったと言うならば、やっぱり無駄なんかじゃなかった。
きっと今度はうまく恋ができる。
自分らしい自分で。
大好きな場所になった、この『ショコラ』で。
【END】