<改>桜ヶ丘物語
「そういうの興味ないの。ごめんなさい」


普通に笑って、普通に泣ける女の子なら跳んで喜ぶ告白も、私にとってはただただ憂鬱な出来事でしかなかった。

ドキドキする感情も、胸が苦しくなるほどの衝動も、どこかに忘れてきてしまったみたい。


だから、「サヨナラ」と言ってこの場を離れようとしたのに、なのに、少し日焼けした黒い腕がそれを許してはくれなかった。





「待て」、と。


私の右腕を強く掴む。


――やめて。

触らないで。

離してよ。


これ以上話が長引くなんて、堪えられない…!




「なぁ、そういう態度は良くないんじゃねぇ?こっちは仲良くなりたいって言ってるだけなんだしよぉ?」



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