<改>桜ヶ丘物語
「チッ」


三谷君は忌ま忌ましげに窓から身を乗り出す人物を一瞥した後、おとなしくその手を離した。


腕に赤く指の痕が残る。

キモチワルイ。


私を睨むように見つめる三谷君に、もう二度と関わらぬよう、さっきよりも幾分大きな声で”サヨナラ”を告げる。



「諦めねぇから」


後ろから私を追う声が聞こえた気がしたけど、振り返る事はしなかった。



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