<改>桜ヶ丘物語
「ゆうまー…、アイツなんとかしろよぉー…」

うずくまってる一人が俺と目が合った瞬間、逃すまいと助けを求めて来た。


(オイオイなんて情けない声出してるんだい?)

なーんて、心の中で突っ込んだけど、暴走している三谷を止めるのが難しいのは、俺もよく知っていたからコクンと小さく頷く。



(まったく、何やってんだよ三谷)

味方をビビらせてどーすんだ。
仲間を失ってどーすんだ。


そんな風に俺ん中で怒りの火が燻(くすぶ)ったけど、今はこの馬鹿を止めるのが先。



「他に誰か頼りになる奴はいないのか」と辺りをくるくる見渡したけど、残念なことにニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて成り行きを見守る“百瀬派”の奴らしかそこにはいなかった。


(ついてねぇなー)


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