<改>桜ヶ丘物語
「…はい?」

「アイツラもそろそろ本気になるなぁ」

「…どういうことです?」

「本格的に、いやおうなしにお前はトップ争いに巻き込まれるってこと」


何を今更真顔で言っているんだろう。
この数ヶ月間、サクラ生と私とのやり取りを誰よりも見て来たはずなのに。


「もう巻き込まれています」

意図的に、突き放すようにそっけなく言葉を返した。

こんな不愉快な話題をいつまでもしたくない。
なのに、意を返さなかったのか、先生は話を続けた。


「いや、今までのとこれからの奴らは質が違う」

「質…ですか?」

「これまでに斎藤に告白した奴らは下っ端、サクラの中でも低位置にいて、どっちかっつーと子分?みたいなもんだ」

「はぁ…」

下っ端ねぇ。
それが何?

「その証拠に、アイツラはお前に振られて怒った顔をしながらもどこか安心したような表情だったろ?」

「…」


.
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