<改>桜ヶ丘物語
振った相手の表情なんて一々覚えていない…。

ヤンキーなんて皆同じような格好していて、見分けがつかないし。

そもそもなんであんな格好をするのかな。

派手な髪して、露出してりゃ格好良いとでも思ってるのかしら。

バカバカしい。
あぁいう奴らが…


「おーい、さいとー。聞いてるか?」


相手の表情を思い出そうと(段々思考がズレて来たけど)頭を働かす私を、「ぼーっとしてる」とでも勘違いしたのか、先生はひらひらと私の目の前で手を振ってみせた。

そんな些細な動きが、今の私には正直欝陶しい。

「聞いてます。さっさと話を続けて下さい」

「お、おう…」

一瞬あからさまに「傷付いた」という顔をしたけれど、そんなの無視だ、無視。
今の私には先生のおちゃらけに付き合っている余裕がない。

そんな私をつまらなく思ったのか、渋々という感じで先生は話を続けた。


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