グッバイ・マザー
携帯を見ると、メールが何件も入っていた。一件一件、読んでは丁寧に返信をする。友達からの励ましの言葉が、画面一杯に羅列する。
「学校、そろそろ行かなきゃな…。」
洗濯物を乾燥機に押し込みながら、そんなことを思った。休みも今日で五日目。家出は四日目になる。
久々に暇になったので、伯母のプライバシーを侵害しない程度に掃除をした。米を研ぎ、昨日使った食器を洗う。する事が無くなって、ふと昨日のことを考えた。
“寺岡クリニック”という文字が頭に浮かんだ。すぐさまタウンページを探す。病院欄を捲ると、隅に小さく、寺岡クリニックの広告が掲載されていた。専門は内科、心療内科となっている。携帯を手に取り、心の準備をした。昨日メモした番号を、間違いのないよう確認しながらボタンを押していく。通話ボタンを押し、コール音が切れるのを待った。
「はい、寺岡クリニックです。」
女性の声が応えた。受付の人だろう。
「高遠の親族のものですが、そちらに高遠小名子という患者はいますよね?」
「失礼ですが、お名前は?」
怪訝そうな声が電話越しに聴こえてきた。
「甥の早坂皐月といいます。」
一息に名前を告げた。
「学校、そろそろ行かなきゃな…。」
洗濯物を乾燥機に押し込みながら、そんなことを思った。休みも今日で五日目。家出は四日目になる。
久々に暇になったので、伯母のプライバシーを侵害しない程度に掃除をした。米を研ぎ、昨日使った食器を洗う。する事が無くなって、ふと昨日のことを考えた。
“寺岡クリニック”という文字が頭に浮かんだ。すぐさまタウンページを探す。病院欄を捲ると、隅に小さく、寺岡クリニックの広告が掲載されていた。専門は内科、心療内科となっている。携帯を手に取り、心の準備をした。昨日メモした番号を、間違いのないよう確認しながらボタンを押していく。通話ボタンを押し、コール音が切れるのを待った。
「はい、寺岡クリニックです。」
女性の声が応えた。受付の人だろう。
「高遠の親族のものですが、そちらに高遠小名子という患者はいますよね?」
「失礼ですが、お名前は?」
怪訝そうな声が電話越しに聴こえてきた。
「甥の早坂皐月といいます。」
一息に名前を告げた。