グッバイ・マザー
空腹も手伝ってか、僕は何年かぶりにご飯をおかわりし、父と姉を驚かせた。
以前の僕にとって、食事は楽しみではなく、あくまでも空腹を満たすための事務的な作業にすぎなかった。退屈な空間、息の詰まりそうな張りつめた空気の中でとる食事が、美味しい訳がない。
母が存命の頃、一度僕がハンバーグを残した事があった。母は食べないの?と僕に尋ねた。僕はその時確か、食欲がないと答えたと思う。母はそう、と言うなり、目の前の皿を取り上げ、流しに向かって投げつけた。皿が砕け散る音が僕の耳にいつまでも残った。まだ小学生の時の事だ。
それ以来僕はご飯を残さなくなった。食べられる分しか食べなくなった。おかわりもしなくなった。だから、僕がおかわりをしたのは、小学生の時以来となる。二人が驚いたのは当然だった。
以前の僕にとって、食事は楽しみではなく、あくまでも空腹を満たすための事務的な作業にすぎなかった。退屈な空間、息の詰まりそうな張りつめた空気の中でとる食事が、美味しい訳がない。
母が存命の頃、一度僕がハンバーグを残した事があった。母は食べないの?と僕に尋ねた。僕はその時確か、食欲がないと答えたと思う。母はそう、と言うなり、目の前の皿を取り上げ、流しに向かって投げつけた。皿が砕け散る音が僕の耳にいつまでも残った。まだ小学生の時の事だ。
それ以来僕はご飯を残さなくなった。食べられる分しか食べなくなった。おかわりもしなくなった。だから、僕がおかわりをしたのは、小学生の時以来となる。二人が驚いたのは当然だった。