茜なる焔の旗
鋼鉄の城

狙えないなら狙うな!

 ガガガガガガッ!

 戦艦ホムラの左舷に並ぶ対空機銃が、一斉に火線を引く。

 キイイィィ…ン…

 迫る弾幕を嘲笑うように、無人戦闘機が軽やかに身を翻す。

「くそっ、補整が追いつかない」

 左舷第4機銃手の2年生磯山仁志が、必死にコンソールを叩く。

 両舷に20基ずつあるホムラの対空機銃は、4人の機銃手がそれぞれ5基を操作する。

 機銃と連動したHMDのモニタリングで、直接見るように的を捕えることができるのだ。

 が、しかし。

 仁志の照準は、自動操縦の無人機すら撃ち落とせない。

『何やってんだ。プログラム制御の無人機くらい全部落とせて当然だろ』

 艦長の3年生日笠弘明が、艦橋から呆れた声で言う。

 シミュレーターでは、仁志の射撃成績は優秀な方なのだ。
< 1 / 15 >

この作品をシェア

pagetop