茜なる焔の旗
 眼前の光景に、仁志は言葉もない。

 シミュレーション成績で遥かに劣る真白が、なぜ簡単に無人戦闘機を撃墜できたのか。

「なんで…あんなにあっさり…」

「狙って当てようってのが、そもそも間違ってるのよ。動く的を狙うなんて、できるわけないじゃない」

 真白は諭すように、真顔で言う。

「機銃弾が一瞬に何発も撃てるのは、正確な狙撃なんて考えてないからなのよ」

 そして、何かに気づいたように尋ねる。

「ひょっとしてあなた、シミュレーションで自動補整使ってた?」

「え?ああ、もちろん。使うのが当然だろ」

「やっぱり…」

 真白は大きく頷く。仁志が実戦に弱い理由が分かったのだ。

「気づいてなかったの?シミュレーターの自動補整機能は、標的の進路を先回りするようにプログラムされてるのよ」
< 3 / 15 >

この作品をシェア

pagetop