茜なる焔の旗
「雅、発進体勢よし。各部異常なし」

 モニターをチェックしながら、一孝はふと思ったことを口にする。

「あのさあ、これカタパルト使うよりブースターとかで空中発進したほうが効率よくないか?」

 カタパルトは垂直発進式なのでホムラが移動する必要はないが、射出のためには艦を静止させなくてはならない。

 雅が単独で運用できるなら、ホムラとは完全に別の行動が可能になる。

『一応、ホムラの運用は研究協力と課外授業ってことになってるからな。離脱した雅の行動が把握できないから却下なんだとさ』

 一孝に言われるまでもなく、その利便性を考慮した弘明は防衛省に打診していたのだ。

 だが、その申し出はすぐに却下された。

 表向きは安全確保のためだが、明らかに悪意が伺えた。

 つまりホムラを動かせない大人が、子供達に勝手に動かれるのを嫌ったのだ。

 学生である弘明が、それに反論できるわけもなかった。
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