現実RPG
「どうだよ?少しは、他のこと話す気になったか?」


手足が震える。喧嘩をしたことがなかった拓馬は、そのとき初めて人を殴った。


ゆっくりと起き上がった少年は、拓馬に言った。


「おう、拓馬。お前、今日は王様に会うんだろ。早く行けよ」


まるで、変わりない。人間とは思えない。


ため息をついたそのとき、拓馬は少年のある不思議なところに気づいた。


「嘘だろ……お前……」


再び鳥肌が走る。


少年は、瞬きをしていなかった。


「うわぁ!」


勢いよく少年から離れる拓馬。急に怖くなった拓馬は、再び思い出す。


『あなたが立っているのは、ゲームの中となっております』


拓馬は、生唾を飲んだ。


「マジかよ……」
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