現実RPG
しかし、今の状況では、そう考えるのが一番自然だ。


どこかの国に拉致されたとか、ドッキリであるという疑いが今の出来事で一気に晴れた。


そう。瞬きをしない人間など、存在しない……


「……」


呆然とする拓馬。再び、キョロキョロと辺りを見渡す。


井戸がある。そこから水を汲む少女は、一定の所まで進むと再び井戸に戻り、また水を汲む。


畑の周りで追いかけっこをして遊んでいる小さな子供たちは、ずっと同じルートを同じペースで走っている。


さっきの少年は、スタスタと歩いては同じ道を戻り、また同じ所まで歩き出す。


よく見れば、ここにいる、拓馬以外の全員が一定の同じ行動を繰り返している。


「そんな……マジなのかよ……」


状況を少しずつ受け入れた拓馬は、顔をしかめて空を見上げ、こう叫んだ。
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