現実RPG
「待てよ……相手は、子猫だ。これぐらいなら、逃げなくても倒せるだろ」


ふとそう思った拓馬は、子猫目掛けて木の枝を思い切り振り下ろした。


しかし子猫はすばやく身をかわし、木の枝は地面に勢いよくぶつかって半分に折れた。


「素早い……」


そう思った瞬間、再び拓馬に飛び掛かる子猫。


子猫の頭が拓馬のわき腹に激突した。


「うっ!」


激痛に襲われる拓馬。ヒザをついて、その場に蹲る。


「なんだ、こいつ……子猫の力じゃねぇぞ……」


再び、助走をつけて拓馬に飛び掛る子猫。


「うわっ!」


腕でブロックしようとしたが失敗し、今度は蹲る拓馬の右頬にヒットした。


「!」


その衝撃に一瞬意識が飛ぶ拓馬。


目の前が歪む。


ぼやけた視界に、再び子猫の猛ダッシュが映る。


「ナメんな、このヤロー!」


そう叫び、がむしゃらにパンチを繰り出す拓馬。ギュッと目を瞑る。
< 22 / 202 >

この作品をシェア

pagetop