現実RPG
拓馬が諦めたと思っていたモンスター達は、その行動に驚き、少し遅れをとる。


「町だ!町にさえ、入れば……」


拓馬は、町を目指して震える足で必死に走った。


ゲームの世界なら、モンスターは町まで入って来れないだろう、そう思ったのだ。


追ってくるモンスター。


どんどん近づいてくる。


しかし、幸運なことに拓馬の方が一歩速かった。町が、もう目と鼻の先だ。


「助かった!」


そう思って町に入ろうとした瞬間、入り口には子猫が一匹立ちはばかっていた。


「え……そんな……」


後ろには、大量のモンスター。前には、子猫。こんなに強い子猫と戦っていると、どう考えても追いつかれてしまう。


「ダメか……」


諦めかけたそのとき、入り口の子猫は目が黒色だったことに気づいた。


「町のネコなのか?!」


間一髪で町に転がり入った拓馬。


その途端、背後のモンスターは追う事を諦めどこかへ去っていった。


再び、今度こそ安堵の息を漏らす拓馬。
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