現実RPG
「……」


しかし、その瞬間、不安が拓馬の全身を駆け上がる。


「どうやって進むんだよ、これ……」


そのとき、ふと一人の男が声を掛けてきた。


「おい、拓馬。冒険に行くなら、装備を整えた方がいいぞ」


「装備……?」


その言葉にハッとなった拓馬は、町を見渡す。


「そうだ、武器だ……ゲームなら、武器を装備すれば強くなれるはずだ!」


すると、店頭に剣や鎧が立ち並ぶ店を見つけた。


フラフラと歩いてその店に入った拓馬は、店主と思われる人物に話しかけた。


「お前が、店主か?」


「いらっしゃい。ここでは、鉄の剣、鉄の鎧を売っている」


「くれ、全部」


「五千円ね」


金を払うと、店主から剣と鎧を受け取った。


「重っ!なんだよ、これ」


その武器、防具の重さに驚いた拓馬は、それを抱えたまま、とりあえず店を出た。
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