現実RPG
「ドーラへ、ようこそ!」


拓馬は、その男に言った。


「なぁ……宿屋とか、ねぇの?RPGなら、あるんじゃねぇの?」


「ドーラへ、ようこそ!」


「あ、そっか」


竜太以外とは、話せない事を忘れていた。


仕方なく町を歩き出した拓馬は、『宿』と書いた建物を見つけた。


「これか……」


ヨロヨロと中に入ると、女が受付にいた。


「いらっしゃい。一晩、2000円よ」


「はい、2000円」


「まいど」


2000円で現実のホテルも泊まれたらな、と思ったが、それを口にするほどの元気もなかった。


拓馬は鎧を脱ぐと、近くにあるベッドに横たわった。


すると、寝てもいないのにみるみるうちに疲れが取れる。


ふと窓越しに外を見ると、すでに夜が更けていた。


「よくわかんねぇな、ゲームの世界は……」


体力が回復すると、まだ眠たくなかった拓馬は町に出た。
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