現実RPG
「フー……」


拓馬は2000円を拾い上げるとポケットに入れ、背中の突かれたあたりを触った。


肉体にこそ傷は無かったものの、ヒビ割れていた背中の鎧は完全に砕けていた。


寒気がする拓馬。


「おいおい……」


急に震える拓馬。塔の扉を前にして、急いでポケットを確認する拓馬。3000円ある。


「これなら、鎧が買える……一度、町へ戻ろう!」


おそらく、塔の中にもモンスターはいるだろう。


こんな状態では、とても塔の中に入ることはできない。


そう思った拓馬は、扉に背を向け、再び町に向かおうとした。


そのとき、再び聞こえる恐ろしい音。


ガシャ、ガシャ……


確かに、聞こえる。どこから鳴っているのかはわからない。


でも、前方だ。前方から、聞こえる。


拓馬の手足は、ガクガクしていた。


「くそ!」


慌てて振り返り、塔の扉を開け中に逃げ込む拓馬。


普通のモンスターと戦うならまだしも、ガイコツが相手ではとても無傷で逃げ切れるわけがない。


「……」
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