現実RPG
そう呟き、拓馬は苛立ちながら頭を掻き毟った。


「おう、拓馬。お前……」


少年が再び言葉を繰り返す瞬間、拓馬は少年の胸ぐらを勢いよくつかみ上げた。


それでも、少年は少しも臆することなく、言葉を最後まで言い切った。


「お前、ナメてんのか?」


拓馬はそう言って、少年をジッと睨む。


「答えろ。ここは、どこだ?俺を東京へ帰せ。遊んでるほど、暇じゃねぇんだよ」


「……」


「答えろ!」


怒鳴り声を上げる拓馬。すると、少年はゆっくりと口を開いた。


「おう、拓馬。お前、今日は王様に会うんだろ。早く行けよ」


同じトーン。同じ表情。同じ言葉。


しかし、とても芝居をしているとは思えない。まるでロボットのように、記録されている言葉を発しているようだった。


不気味に思った拓馬は、少年から手を離した。
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