豪華絢爛/千紫万紅-乱世の花の色-
傾き者の眼
今日は伏見城にて、豊臣秀吉が宴会を開いた。
名のある大名たちが、連座する宴である。
その中に、おかしな客が一人、紛れ込んでいた。
獣の皮を使った物や、女物かと思う派手な紋様が施された着物を纏った男だ。
その姿を見、多くの者がさる名前を頭に浮かべた。
『前田慶次郎』
太閤殿下よりお許しを得た、天下御免の傾き者である。
「おれなど気にしないで下され」
へりくだっている様な言葉だが、それを言う口にはキセルがくわえられている。
他の者ならば、切り捨てられる所だろうが、そこは天下御免の傾き者。皆、何も言わない。
仕様がない奴だと笑う者も、眉間に寄った皺を押さえる者も、睨む様な目で彼を見る者も、誰も。
天下の太閤殿下がお決めになられた事に、誰が逆らえよう。
「主も来たのか、慶次郎」
「これは、これは、太閤殿下。お久しゅう御座いますね、ご挨拶に参りました」
わざとらしいまでに、恭しく頭を下げた慶次郎を見、秀吉は声をあげて笑う。
名のある大名たちが、連座する宴である。
その中に、おかしな客が一人、紛れ込んでいた。
獣の皮を使った物や、女物かと思う派手な紋様が施された着物を纏った男だ。
その姿を見、多くの者がさる名前を頭に浮かべた。
『前田慶次郎』
太閤殿下よりお許しを得た、天下御免の傾き者である。
「おれなど気にしないで下され」
へりくだっている様な言葉だが、それを言う口にはキセルがくわえられている。
他の者ならば、切り捨てられる所だろうが、そこは天下御免の傾き者。皆、何も言わない。
仕様がない奴だと笑う者も、眉間に寄った皺を押さえる者も、睨む様な目で彼を見る者も、誰も。
天下の太閤殿下がお決めになられた事に、誰が逆らえよう。
「主も来たのか、慶次郎」
「これは、これは、太閤殿下。お久しゅう御座いますね、ご挨拶に参りました」
わざとらしいまでに、恭しく頭を下げた慶次郎を見、秀吉は声をあげて笑う。