豪華絢爛/千紫万紅-乱世の花の色-
二兵衛
 たかが足軽であった豊臣秀吉を、太閤にまで押し上げた、二人の天才軍師がいた。

 人は、彼らを漢の劉邦に使えた二人の軍師、張良と陳平に例えた。
二人合わせ、二兵衛と呼んだ。

 つまり、人々は彼らを称賛したのだ。

──黒田官兵衛孝高と竹中半兵衛重治を


「小寺も、か」

 憎々しいと言いたげな声で、信長は呟いた。

 織田の重臣であった荒木村重が謀反をおこした。それに、小寺(黒田)官兵衛の主も、呼応しようとしていた。

「手前が、村重殿を説得して参ります」

 村重と旧知の仲である官兵衛は、上手く話を纏め、穏便に事を済ませ様と考えていた。

「しかし、な」

 官兵衛までもが、裏切る可能性を信長以外も考えていた。

「なれば、我が子松寿丸を置いて行きます」

 裏切ったり等すれば、我が子を殺されたとて文句は言えない。

「よし、此度の事は貴様に一任する」

「恐悦至極」

 そのまま、官兵衛は帰って来なかった。

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