豪華絢爛/千紫万紅-乱世の花の色-
それから暫くして。
「殿、殿っ。お願いで御座いますっ」
秀吉の後ろを付いて歩きながら、半兵衛は懇願する様な声で訴える。
「ならぬ!お主の体調が芳しくないのは、誰の目にも火を見るより明らか。その様な者を、戦に出すなど出来るものか」
やっと事で手に入れた天才軍師…今や、友人の一人となった半兵衛を失いたくない秀吉は、首を縦には振らない。
「もののふに生まれたならば、戦で散らねばなりませぬ。どうか、手前に出陣の下知を」
半兵衛の目には、覚悟が映っていた。
「まこと、お主には敵わぬ」
「恐悦至極に存じまする」
戦に出た半兵衛は、そのまま病にて死亡。
天正七年六月十三日、半兵衛はたった三十六年の生涯に幕を閉じた。
「半兵衛、半兵衛っ」
その遺体を目の当たりにした秀吉は、人目も憚らずに泣いたと言う。
「殿っ!」
半兵衛を亡くした悲しみにくれる秀吉の元に、さる知らせが舞い込んできた。
「どうした?」
「荒木村重の件の際、消息を絶たれていた小寺官兵衛殿が見付かったそうで御座います」
「官兵衛が…」
「殿、殿っ。お願いで御座いますっ」
秀吉の後ろを付いて歩きながら、半兵衛は懇願する様な声で訴える。
「ならぬ!お主の体調が芳しくないのは、誰の目にも火を見るより明らか。その様な者を、戦に出すなど出来るものか」
やっと事で手に入れた天才軍師…今や、友人の一人となった半兵衛を失いたくない秀吉は、首を縦には振らない。
「もののふに生まれたならば、戦で散らねばなりませぬ。どうか、手前に出陣の下知を」
半兵衛の目には、覚悟が映っていた。
「まこと、お主には敵わぬ」
「恐悦至極に存じまする」
戦に出た半兵衛は、そのまま病にて死亡。
天正七年六月十三日、半兵衛はたった三十六年の生涯に幕を閉じた。
「半兵衛、半兵衛っ」
その遺体を目の当たりにした秀吉は、人目も憚らずに泣いたと言う。
「殿っ!」
半兵衛を亡くした悲しみにくれる秀吉の元に、さる知らせが舞い込んできた。
「どうした?」
「荒木村重の件の際、消息を絶たれていた小寺官兵衛殿が見付かったそうで御座います」
「官兵衛が…」