僕と彼女と屍と…

「はぁはぁ…」

竜平は荒れた呼吸を整える。
ここは二階のトイレの個室の中だ。

階段を上って、真っ先にトイレが見つかったので隠れたのだ。

屍が歩く音が聞こえる。

カラカラカラ…。

何かを引きずってるのだろうか？

竜平は個室の壁を掴み、体を持ち上げると廊下を見る。
目の前の階段に屍が立っていた。
手に持っている物は…ハンマーだろうか？

屍は両手を持ち上げると、一気に階段に向かってハンマーを叩き落とす。

ガキィン！

竜平は凄い音に思わず両手を離してしまい、個室の床に落ちる。

その音は何回も何回も繰り返されていた。

やがて、騒音と共に音が止まった。

カラカラカラ…。

次第にハンマーの音も遠ざかって行った。