僕と彼女と屍と…
竜平はノートを裏返してみる。
そこには

平山

と名前が書かれていた。
先ほど会った警察官の名前だ。

彼は何ヶ月もの間、ここに居たのだろう。
死なない屍と戦いながらも、ここ以外の場所に行かなかった。
会った時も言っていた。

「出口まで案内するよ」

つまりは、自分自身はここから離れる気は無いのだ。
何故だ?
もっと安全な場所があるだろうに。

ガタッ!

竜平は物音に気付き、目線を上げる。
そこには屍が立っていた。

何度も、こちらに歩こうとするが動きがぎこちない。

竜平は屍の足を見た。

屍の足は手錠で机と繋がれていた。
なるほど、そうすれば例え生き返ってもこちらに襲って来る事は無い。

竜平は屍の近くの消化機を見た。
その時には、するべき事が頭の中に浮かんでいた。
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