カラカラライフリズム
言ってから、この質問の答えは、
返って来なかったかも知れないと思った。

どうせまた今度は、『他人に気を遣え』辺りの件を、
間抜けた言葉で切り返して来るに決まっている。


だが、


「……刺激が無いと、生きてる気がしないんだよ。
きっと、あんたには分かんないよ」


ふっと光の笑みが消え、低い声で呟くように言った。

ただし、樋口が光の包帯を巻く手を止めると、
光はまたさっきの笑みを顔に貼り付けた。


「矛盾してんのは、大人の世界。俺はまだ子供。

だから大人のマネしたってしょうがないんだよーだ」


「たわけ。十八過ぎたらもう大人だボケ」

結局、いつもの何かが食い違った会話。

樋口は無理矢理光を立ち上がらせて、
頭が痛いとぼやいた光の頭を、
「貧血だ」と言いながら軽く叩いた。
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