カラカラライフリズム
手触りの良いシート。

執行所までの見慣れた道。

指紋だらけのフロントガラス。

一樹は、今まで以上にそういったものの様子を、
一つ一つを確認していった。

寮は、執行所の敷地内にある。


だから多分もう二度と、
こうして樋口の車に乗る事は無いだろうから。

「着いたぞ」


と言われた時、一樹はシートベルトを外して真っ先に外に出た。

そして、トランクを開けて逆さまになっていた二つのバックを抱えた。

樋口は、後部座席から紙袋を取り出して腕に引っかけた。
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